突然ですが、「みちのく潮風トレイル」を御存知でしょうか。
みちのく潮風トレイルは、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ全長約1000キロの自然歩道です。このトレイルは、東日本大震災からの復興を後押ししようと環境省が整備したもので、2019年6月に全線が開通しました。
みちのく潮風トレイルの魅力
みちのく潮風トレイルの最大の魅力は、海の景観をダイナミックに感じるスポットの豊富さです。日本一美しい崖やリアス海岸ならではの風景、恵み豊かな世界三大漁場など見どころが目白押しです。
また、豊かな自然の恵みを背景とした人々の暮らし、積み重ねられた歴史・文化を感じることができます。
海外の評価もうなぎのぼり!新たな観光資源としても注目
海外の評価として、英紙ザ・タイムズが発表した「日本で訪れるのに最適な14の場所」に、みちのく潮風トレイルが選ばれました。同紙は、同トレイルの魅力について「ドラマチックで心が躍るような海沿いの風景と、ハイカー快く迎え入れてくれるコミュニティーがある」と紹介しました。
また、震災について学びたいという外国人も訪れなど、海外からのハイカーは年々増加傾向にあると報じられています。これらの評価から、みちのく潮風トレイルは国内外から高い評価を受けていることがわかります。
ランナーにも魅力的なみちのく潮風トレイル/問題はルートの選定
もちろん、このみちのく潮風トレイルは、ハイカーだけではなく、私たちランナーにとっても魅力的なコースです。ここまでご覧いただいたランナーの中には、「行ってみたい」と思った方もいることでしょう。
ただ、このみちのく潮風トレイルは、ランナーにとって大きな問題があります。
それは、みちのく潮風トレイルが、北から南に続く1本の道であるということです。
それが何の問題になるの?と思った方もいることでしょう。
ランニングする際、最小限の荷物だけを持って行く方が多いのではないでしょうか。
その場合、荷物はスタート地点に置いていきますよね。
1本の道ということは、荷物を置いてきたスタート地点に戻るには、来た道を引き返すか、公共交通機関を利用する必要があります。若しくは、スタート地点に戻らなくていいように着替え等の荷物を持って走らなければなりません。
来た道を引き返すのに抵抗がない方、汗だくで公共交通機関に乗れるメンタルの強い方、若しくは、重い荷物を背負って走ることを厭わない屈強な方にとっては、特段問題にならないでしょう。
しかし、多くのランナーはこのように思うのではないでしょうか。
- せっかく来たのに、同じ道を往復したくない
- 汗だくで公共交通機関に乗るのは抵抗がある
- 走るときは、なるべく身軽でいたい
このような問題を解決できなければ、ランナーをみちのく潮風トレイルから遠ざけてしまうでしょう。
みちのく潮風トレイルを1日で楽しめるランニングコースをご紹介
そこで、ここでは、みちのく潮風トレイルを堪能しつつ、なるべく同じ道を通らないでスタート地点に戻れるランニングコースを紹介していきます。なお、ここでご紹介するランニングコースは、実際に私が走ってみて、その感想も踏まえたものとなります。
順次記事を追加していきますので、お楽しみに!
東北地方の沿岸部は公共交通機関の便が悪い地域が多いです。よって、ここでは車でスタート地点まで移動することを前提にコースを設定しています。
また、コースの長さは、十分にみちのく潮風トレイルの魅力を堪能できるよう20km程度としています。
【Episode1】岩手県釜石市両石町/水海公園発着コース
このコースは、岩手県釜石市両石町にある水海公園を発着地点とした周回コースです。
水海公園から南下し、峠を越えて釜石市浜町に至るまでが、みちのく潮風トレイルのコースになります。
そこから半島沿いを反時計回りに水海公園まで戻ります。総距離は約23km、獲得標高は約860m、走破に要する時間は私のレベル(サブ4程度)で約3時間30分です。地味にアップダウンが続くので、かなり足に来ます。無理せずに登りは歩きましょう。
補給は峠越え後の浜町付近の自動販売機、若しくは、汗をかいた状態で店舗に入ることに抵抗がない方は「魚河岸テラス」があります。コースの大部分では補給ができませんので、水や補給食は携帯しましょう。もちろん、山に入るので熊鈴は必携です。
今回ご紹介するルートと逆回りでもいいですが、かなり足を使った後に峠越えとなりますので、少なくとも私よりも上のレベルの方でないと厳しいかもしれません。
このコースを紹介する動画を作成していますので、ご覧頂けるとうれしいです。
【Episode2】岩手県宮古市重茂/魹ヶ崎コース
このコースは、本州最東端の魹ヶ崎を経由する周回コースです。
グーグルマップで表示しているルートは、姉吉キャンプ場を発着地点としていますが、重茂漁港を発着地点としても良いでしょう。反対回りでも難易度に違いはありません。
総距離は約19km、獲得標高は約600m、走破に要する時間は約3時間です。コースの半分以上がトレイルコースになり、細かなアップダウンがあるため結構足を使います。
補給は、スタート地点の姉吉キャンプ場と重茂漁港の自動販売機のほか、県道41号線沿いの産直施設があります。姉吉キャンプ場と重茂漁港の間が「みちのく潮風トレイル」のルートになりますが、その間は補給ができません。山の中を走りますので、熊鈴を携帯しましょう。
注意点として、このコースのスタート地点(姉吉キャンプ場または重茂漁港)へのアクセスは、宮古市側から南下するようにしてください。山田町側から北上するルートは、道が狭く急カーブが連続しています。また、姉吉キャンプ場から重茂漁港の間は、携帯の電波が入らない区間があります。
このコースを紹介する動画を作成していますので、ご覧頂けるとうれしいです。
【Episode3】岩手県下閉伊郡山田町/船越半島コース
このコースは、大浦漁港を発着地点として、船越半島の東側を周遊するコースです。
総距離は約23km、獲得標高は約1,100m、走破に要する時間は4時間30分です。コースの大部分をトレイルが占めており、かなり急勾配の上り下りがあるため足への負担は大きいです。もしかすると、みちのく潮風トレイルの中でも最も難易度が高いコースかもしれません。
大浦漁港を出ると戻ってくるまで補給箇所はありません。水分と補給食はしっかり持っていきましょう。また、コースの大部分で携帯の電波が入りません。絶対に無理は禁物です。
みちのく潮風トレイルでランニングを楽しもう!
みちのく潮風トレイルは、雄大な三陸海岸の景色が、いつもとは違うランニング体験を提供してくれます。
本格的なトレイルコースから、林道などの未舗装道、一般道と多様な路面があり、ランナーの嗜好によってコースを選べるのも魅力です。
ランナーの皆さん、ぜひ一度「みちのく潮風トレイル」を体験してみてください。